2025年2月27日木曜日

畑③の開墾が終了 「ベーシック・インカム 国家は貧困問題を解決できるか」

  畑③の開墾が終了しました。今回は、僕は何もしていません。昨日、今日の二日間で全部やっていただきました。すごい!


 この国の25年度予算についての議論、というか「維新」と「国民」によるおねだり合戦のような気がするのだけど、今の議論ではこの国のこれからについての大きな方針というか、それでいったいこの国をどうしたいの? というのが見えてこない。目指してるのが大きい政府なのか、小さな政府なのか、わからない。社会保障費の削減や減税を言っているので小さい政府を目指すのかと思いきや、支出は増やせという・・・・・。一体どうしたいんだろう。

 生まれてから死ぬまで、誰もが経済的に安心して生きていける世の中にならないものでしょうか。高校無償化も、給食費の無償化もいいと思う。高額医療費の改悪は言語道断、医療費も無償化を目指すべきだろう。

 最近では、ベーシック・インカムよりベーシックサービスかなぁ、と思うけど、この本も一読に値すると思う。財源論に踏み込んでいます。


 国家の財政はベーシック・インカムに耐えられるのか? 本書はベーシック・インカム最大の問題点と考えられている財政問題に切り込み、そして現在の国民負担をほとんど増やすことなく、成人一人当たり7万円/月程度(子供は半額)のベーシック・インカムが可能なことを明らかにする。

 世界で最悪な部類に入る子供の貧困率、シングルマザーの貧困、そしてこれから確実に増加する無年金の高齢者たち。それらを解消するための仕組みは現在機能しているとは言えない。そこで、生活保護や基礎年金、児童手当、失業手当・・その他の「健康で文化的な最低限度の生活を営む」(憲法25条)ための仕組みをベーシック・インカムに置き換えることで一気に網羅的に(現在では生活保護システムにアクセスできない人が数百万人いると推定されている)、そして単純に解決できる。所得を把握する必要もないので、行政事務コストは限りなく削減できる。それらをベーシック・インカムでは救えない、経済的ではない困難を抱える人々の救済、「本来の仕事」に当たることができる、と著者は言う。

 新書なので各論について十分に詳しいわけではないが、総論においてベーシック・インカムを導入しない、という選択はないほどに説得的な本である。(2015年7月14日 記)

2025年2月26日水曜日

とても素敵な踏み台 「ある遭難者の物語」

  大川市の家具店で修行している甥っ子から、素敵な踏み台が届きました。玄関の土間から小上がりに上がるための踏み台を作ってくれました。デザインも、質感も、とてもいい感じです。




 ガルシア=マルケスの「百年の孤独」が文庫化されて、大ベストセラーになっています。もちろん、僕も買いました。マジックリアリズムの代表作で、世界的には「読んでいる」ことが当たり前の本なんでしょう。ただこの本は「難しい」。
 同じ著者のこの本は、ノンフィクションです。

 1955年2月、荒波のカリブ海でコロンビア海軍の駆逐艦から海上に放り出された数名の水兵たち。ひとりは偶然にも一緒に放り出された筏に乗り込む。しかし、他の水兵たちは、大波に翻弄され、わずか数メートル先の筏にたどり着くことができず、海に沈んでいく。
 そこから10日間のたったひとりでの漂流。太陽に焼かれ、そして極限的な餓え、渇き。幻覚。鮫との毎日の戦い。飛行機や船を見れば発見されたはずと喜び、鴎を見つけたり、海の色が変われば陸が近いと確信したり、しかしそのたびに裏切られて追い詰められていく。絶望の中彼はこう思う。「生き続けるよりも死ぬことの方がずっと難しい」。
 そして10日目、祖国の海岸に漂着。英雄になる。そして、忘れ去られる。

 マルケスが新聞記者だった時代、本人から取材して書いた「新聞記事」がこの物語。(2015年8月1日 記)




2025年2月25日火曜日

湯郷のインド料理シボン 「混ぜる教育」

  長く居座っていた寒気が去って、ぽかぽか陽気になりました。雪は残っていますが、久しぶりに山を降りて、湯郷温泉のインド料理屋「シボン」へ。蔵前仁一の「ボーボー・インド」を読んでからビリヤニをとても食べたくなっていて・・・・やっと食べることができました。美味しかった!!



  今日は国立大学の前期入試。受験生の皆さんはお疲れ様でした。合格して、こんな教育を受けられるといいですね。


 別府にある立命館アジア太平洋大学(APU)は、学生の半分が留学生(80カ国以上から約3,000人)、教員の半分が外国人で、ほとんどの授業が日本語と英語の2本立てで用意されている。そこでは、教室や寮や地域を通じて、日本人と外国人が混ざり、上級生と下級生が混ざり、教員と職員が混ざり、学生と地域が混ざり、そして別府と世界が混ざっていく。

 混ざることで、「化学反応」が起こり、創発が起こる。そして日本人学生は異文化を正しく肌感覚で理解して英語でもコミュニケーションできるグルーバルな感覚とスキルを持った人に成長していき、外国人学生は日本のマインドと日本語でもコミュニケーションできるスキルを持った人として、グルーバル化する日本企業の中で重要なポジションを得ていく。

 「グローバル化」する大学の一つのモデルがここにある。そしてそこには、留学生数や英語で開講される授業の割合を増やすとかということの前提として、深い深い「想い」があるのである。そしてそれが決定的に重要だということを、本書から思い知らされる。創設者のその「想い」に共鳴して駆けずり回った人々の熱さが、今もまだ駆けずり回っている人々の熱さが、この素晴らしい大学と成長した学生たちを生み出している。(2016年11月3日)



2025年2月24日月曜日

Books tabito-旅・人 蔵 のnoteを更新しました 「亜鉛の少年たち」

  雪で外仕事はできず、本屋さんの最後の棚を完成させました。そのことをnoteにまとめました。 →こちらです



 ロシアがウクライナに侵攻して3年が経過しました。たくさんの人が亡くなっています。ロシア兵はアフガンの時のソ連兵と同じなんだろうなぁ、という感じがしています。


 スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ「亜鉛の少年たち」岩波書店 ISBN:978-4000613033


 アフガン戦争の真実。ソ連政権の巧みなプロパガンダにより徴兵された少年たちは、亜鉛の棺に入れられて帰還した。母親たちは、その棺を開けることは許されなかった。

 アフガン帰還兵、戦没者の母親たちへの多くのインタビューから、戦場で何が起こっていて、人間はどのように破壊されていくのかが明らかにされる。

 この著書が広く世界中で読まれているのは、アフガン戦争の真実を暴いた、ということよりも、「戦争」「戦場」の持つ普遍的な悍ましさ、戦争へ駆り立てる権力者の欺瞞もまた普遍的であることを暴いたと言うことだろう。どんな戦争も、ベトナム戦争も、今起こっているウクライナでの戦争も、そしてかつての太平洋戦争も、同じであろう。

 今回増補された、この著書を巡る裁判の顛末。権力の恐ろしさを実感する。(2023年5月4日 記)

2025年2月23日日曜日

地区の常会 「「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい」

  今日は地区の常会。僕の住んでいる地区では毎月常会があって、全世帯が集まります。全世帯といっても11世帯ですが。



 5年に一度の内閣府の世論調査で死刑容認が8割を超えている、と昨日の朝日新聞。袴田さんの再審無罪確定があった直後にも関わらずである。少し前の本ですが、こんなのはどうでしょうか。

森達也「「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に聞きたい」ISBN: 978-4478006832

 「推定無罪の原則」や「残酷な刑罰を禁じる」憲法や世界人権宣言・・・その他の諸権利を獲得するまでに世界中で流された血と、その時間を考えれば、死刑制度や日本のマスコミの犯罪報道に違和感を感じるのは当然であろう。その違和感の正体を著者は考え抜いていく。紹介されるノルウェーの現実はすごい。ノルウェーには死刑も終身刑も無期懲役もない。望めば刑務所内で大学教育まで受けることが出来、出所の際には住居と仕事が提供される。11年7月のオスロの政府庁舎の爆破、郊外の島で起きた銃乱射事件を経てもなお、死刑の復活や厳罰化を望む声はないのだという。「罪を憎んで、人を憎まず」ということか。これもまた、人類が到達した地平なんだけど・・・・。(2012年2月2日 記)


2025年2月22日土曜日

古本屋さん 棚に本を並べてみました 「猫の都 イスタンブールに住んでみた」

  入口から入って、右側の棚は完成しています。少し本を並べてみました。こんな感じです。





なんだか、本屋さんみたくなってきました。


 
 2月22日は猫の日です。今日のテレビ欄は猫の番組でいっぱいですね。
アジア猫散歩「猫の都イスタンブールに住んでみた」ハーパーコリンズ・ジャパン ISBN:978-4596992864

 僕がイスタンブールに行ったのはもう30年くらい前。その時、この街が猫の都だって話は聞いたことがなかった、と思う。撮った写真にも猫は写っていない。

 本書によると、「2004年に動物愛護法が制定され・・・現在では、猫だけではなく全ての動物を"イスタンブール市民"として扱っている」のだそうだ。

 街角でも、駅の改札でも、Cafe でも、レストランでも、本屋さんでも、もちろん絨毯屋さんや公園でも、街に一歩出れば"彼ら"に会えるらしい。彼らとの遭遇と、そのとても素敵な写真がたくさん。

 猫好きにはたまらないフォトエッセイ集。これを持って、イスタンブールの猫に会いに行きたい!(2024年12月17日 記)

2025年2月20日木曜日

ジャガイモの芽出し 「私は本屋が好きでした あふれるヘイト本、つくって売るまでの舞台裏」

 寒い日が続いています。このところ、朝は毎日積雪で真っ白になっています。ただ、もう春は近いはず・・・。

 3月の中旬に植えるために、ジャガイモの芽出しを開始しました。日当たりのいい縁側で3週間もすれば大丈夫でしょう。夜はほぼ外気と同じ室温になるのは心配ですが。



 街の本屋さんのこんな感じは、残念ながら今もそうですね。目立つところで平積みになっています。私の古本屋では、徹底的に排除しますが。

永江朗「私は本屋が好きでした」太郎次郎社エディタス ISBN:978-4811808390

 長く業界に関わってきた著者の、悲しいレポート。大好きだった本屋、最近はのぞくのが苦痛になってきた。それは店頭に積まれた憎悪を煽るヘイト本のせいである。何故ヘイト本が店頭に溢れるようになったのか、その事情を本屋、流通、出版社、編集者と遡ってヒアリング、調査していく。そこには、売れればいいとだけ考える、あるいは思考を放棄した書店人、業界人の姿が浮かび上がる。
 本を作る、売るというのは「志」の商売ではなかったのか。私たちは、何故本をつくり、並べ、売るのか。そのことを深く深く考えなければならない、ということを突きつける。すべての書店人必読、じっくりと心に向き合わなければ成らない。何しろ、「本屋という仕事は、ただそこにあるだけで、まわりの社会に影響を与えるのだから。」(2020年2月29日 記)

2025年2月18日火曜日

古本屋さんの棚づくり 「墜落!の瞬間」

  寒波で外仕事は厳しいので、蔵のなかで棚づくり。

 今日新たに2本が完成。これで5本に。もう1本柱は建てているので、今日棚板を買ってきました。明日ペイントして、明後日には棚受けに取り付けて棚づくりは完了、といければと思っています。


 カナダで着陸の際に飛行機が逆さまに。このところ飛行機事故が続いていますね。ずいぶん以前の本ですが、こんなのがあります。

マルコム・マクファーソン「墜落!の瞬間」ソニーマガジンズ ISBN:978-4789718813

 墜落していく航空機のボイス・レコーダーの記録。飛行機は生身の人間が操縦しているということを改めて認識させられる。他人に命を預けている--字のままである、比喩ではない--のである。飛行機に乗っている時間のある意味では達観した感覚は、そのことの現れであるといえる。どうしようもないのだ。(2002年8月 記)

2025年2月17日月曜日

教科書の発注 「貧困の現場」

  今朝、メールを受信したらフランス語の教科書の注文がまとめてきていたので、午前中はその処理。教科書でも、本のことをやっている時間がとても楽しい。


 子ども食堂が1万箇所を超えたという。行政の不作為がこの状況を作っているわけで、たくさんできてよかったね、という話ではないだろう。運営している人たちには頭が下がるけど。

飢えた子どもがこれだけいるという状況を変えるには、ベーシックサービスで提供されるべき品位ある最低保障」の提供ということになるのでは。子どもの貧困の責任は、その子どもにはないのだから。

東海林智「貧困の現場」毎日新聞社 ISBN:978-4620318561

 日本では貧困は自己責任論と一緒に語られて来た。しかし、少なくとも本書で事例としてあげられる中学生や高校生に「自己責任」はない。
 社会から排除された状態として貧困があり、貧困は社会が強制するものだという「社会的排除」という認識がなかったし、今もない。いつでも貧困が個人の問題として語られてしまう。
 しかし本書を読むと、現在貧困の状態にないとしたら、それは幸運の賜物で、いつでも誰でもがたちまち貧困に陥ってしまう、まるで綱渡りをしているかのような状況にあることがわかるだろう。そして、一度貧困の状態になってしまったらそこから脱出するすべは少なく、むしろ再生産されていってしまう。
 同じ地域に、国に、貧困の状態にある人がいる。まず、そうじゃない状態にする、どうしてそれだけのことが僕らはできないんだろう。何故なんだろう・・・・・。いま僕は、ものすごく居心地が悪い。(2013年10月14日 記)


2025年2月16日日曜日

古本屋さんの棚づくり 「ベーシックサービス 「貯蓄ゼロでも不安ゼロ」の社会」

  今日は春の陽気。先日塗った棚板を棚受けに取り付けて、棚2本完成しました。



 新年度予算関連で、高額療養費制度の改悪については撤回、もしくは凍結されそうな感じだけど、与党からはどうしてこんな施策が出てくるんだろう?  一生を安心して、お金の心配をしなくて済むように制度設計することが少子化対策にも、景気対策にも最善のなんだけど。高校無償化はいい方向だし、大学まで無償化して欲しいところ。大学進学率が上がることは、この社会に住む全員を豊かにすることになるはず。

井手英策「ベーシックサービス」小学館新書 ISBN:978-4098254705

 教育・医療・介護・障害者福祉をベーシックサービスとして無償化する。加えて、品位ある最低保障を実現して「貯蓄ゼロでも不安ゼロ」の社会を実現する。その理論と、実際の方法論を提供する。財源は消費税。16〜20%にすれば、ベーシックサービスを無償で提供できる社会が実現する。そうすると、将来の不安から解放され、将来のために貯蓄に回っていたお金が今を生きる、楽しむために使うことができるようになり、経済も活性化する。

 実際、北欧社会はそれを実現している。将来の不安、長生きするのがリスクの社会、チャレンジするのがリスクでしかない社会、息が詰まりそうな社会を変える処方箋。

 具体的な行動に移そう、というのが著者の提言。具体的な行動は簡単。政治を監視し、投票に行こう、ということ。(2024年10月12日 記)

2025年2月15日土曜日

なんちゃってファームの土作り 「Humankind 希望の歴史 下」

  田圃、畑、果樹もやっておられる方にアドバイスをいただいて、なんちゃってファームの土に発酵牛糞と発酵鶏糞を漉き込みました。

 ジャガイモを予定している部分です。3月10日頃に種芋を植える予定。それまでは放置。


 昨日の続き。

ルトガー・ブレグマン「Humankind 希望の歴史 下」文藝春秋 ISBN:978-4163914084

 希望の書。著者は言う、「わたしたちが、大半の人は親切で寛大だと考えるようになれば、全てが変わるはずだ。」

 現在の社会の様々なシステム、民主主義、資本主義、教育、刑務所、介護・・・全ては「人間は本質的に利己的で、攻撃的で、すぐにパニックを起こす」という「最悪な人間を想定した」システムである。
これに対して「大半の人は親切で寛大」だと考えて政治(税金の使い道を決める)、刑務所、介護施設・・その他のシステムを動かし始めた人たちがいる。そしてそれは、前者よりもはるかに上手く機能している。そういう幾つかの実践を記す。

 訳者あとがきが本書を完璧にまとめてくれている。(2023年1月2日 記)


2025年2月14日金曜日

古本屋さんの棚づくり 棚板のペイント 「Humankind 希望の歴史 上 」

  昨日準備した棚板をペイントしました。今日は暖かくなって、ペンキ塗り日和でした。

 明日は、いよいよ棚づくり。棚受けにこの棚板を固定していきます。


 SNS上の差別的言説、罵詈雑言、フェイク・・・・そして平気に嘘をつく人がどうしてこんなにたくさんと思うけど、実際にそんな言説を撒き散らしているのはごく少数という。「ほとんどの人は、本質的にかなり善だ」というのがこの本。

ルトガー・ブレグマン「Humankind 希望の歴史 上」文藝春秋 ISBN:978-4163914077

 「万人の万人に対する闘争」は正しくない。「ほとんどの人は、本質的にかなり善だ」ということを多くの事実から証明していく。

 ロンドン大空襲、「蝿の王」、「利己的な遺伝子」、銃を撃たない兵士、ジャレッド・ダイヤモンドのイースター島の物語、スタンフォード監獄実験、ミルグラムの電気ショック実験・・・信じられている多くの「事実」は実は事実ではなかったことを暴き、人間が本質的にはどれだけ善かを証明していく。

 後半では、「最悪な人間を想定した現在のシステム」= 法の支配、民主主義、資本主義・・・を乗り越えていく「最良の人間を想定したらどうする」から新しい世界を構想していく。コモンズ、アラスカの永久基金配当(一種のBI)、リゾートみたいな刑務所・・。

 謎は、本質的に人間はかなり善であるにも関わらず、どうしてホロコーストや野蛮な殺戮や、そしてウクライナへの攻撃が起こってしまうのか、ということである。著者は「私たちを最も親切な種にしているメカニズムは同時に、わたしたちを地球上で最も残酷な種にしている」「友情と忠誠心と団結、すなわち人間の最善の性質が、何百万という普通の男たちを史上最悪の虐殺へと駆り立てたてたのだ」と書く。それは、人類は身近な人には共感するが、1000人、100万人、70億人に共感することは不可能で、身近な犠牲者に共感するほど、敵をひとまとめに「敵」とみなすようになるからだという。つまり、共感が私たちの寛容さを損なうと。

 何回も繰り返し読んだけど、ここの部分がまだよく理解できない。では、どうすればこの悲劇を繰り返さなくて済むのだ? それは「最良の人間を想定したシステム」に置き換えていくことで可能なことなのか?  

 ただ、人間はそう簡単ではではない、ということは間違いない。(2022年12月31日 記)


2025年2月13日木曜日

古本屋さんの棚づくり 棚板ペイントの準備 「ボッコちゃん」

  柱を設置した分の棚板を作成します。1×4材を使います。棚1段(約90cm幅)に2枚、まず棚2本分として12段分、24枚を準備しました。明日は天気が回復して暖かくなりそうなので、明日ペイントすることにして今日は正確な長さに切って、オービルサンダーで表面を削ってツルツルに。



 先日下関の「NEOHAS Book & Hotel 」で星新一の紀行本を買ってぼちぼち読んでいたら、無性にショートショートも読みたくなりました。星新一のショートショートは中学の時にほぼ全部読みました。全く古びていないのに驚きました。
星新一「ボッコちゃん」新潮文庫 ISBN:978-4101098012

 中学生の時に読んで以来の再読。ショートショート50編。1971年初版で版を重ねて半世紀以上、ほぼSFなのに全く古びておらず、まるで50年後の世界を予言しているような作品の数々。とにかく、面白い。4コマ漫画のようなオチが、想像のずっと斜め上をいく。恐るべし、星新一。

 「肩の上の秘書」。自分がつぶやいた言葉を肩の上のインコがTPOに合わせて「翻訳」する。全員が肩の上にインコを載せていて、セールスマンが商品のセールスがうまくいかずにインコに「あばよ」と呟くと、インコは「さようでございますか。本当に残念でございます。では、近いうちに、またおうかがいさせていただくことにしましょう。どうもおじゃましました」と大きな声で相手に伝える。関係性に風波が立たないようにインコが「大人」の会話をする。人間はインコを通して会話する。

 現在のSNS上にある罵詈雑言、誹謗中傷の類は今後はAIによって穏やかな、潤滑油を十分に含んだ言葉に置き換えられて行くんだろう。ということを、想像させる50年前のSF。(2025年2月12日 記)




2025年2月12日水曜日

映画「オッペンハイマー」 「ご冗談でしょう、ファインマンさん」

  今日は冷たい雪と雨。外で作業できないので、暖かいリビングで劇場で見逃した映画「オッペンハイマー」を観る。消化するのには時間がかかりそう。

 この映画は、量子力学の簡単な知識、当時の物理学界隈の状況や人間関係、1930-50年代のアメリカ史や第2次世界大戦の戦況など、当然知っているものという前提で作られている、というのがすごいと思った。アメリカではそれらは「常識」ということなんだろう。それらについては説明しない。


 原爆の開発に関わった物理学者も、それに反対した物理学者にとっても苦悩の時代だっただろう。この物理学者も、マンハッタン計画に関わり、ロスアラモスでその任務を遂行している。そしてもちろん、その時代のことも書いている。

ファインマン「ご冗談でしょう、ファインマンさん」岩波現代文庫 ISBN: 978-4006030056

 資生堂の名誉会長が朝日新聞の日曜版で「もっと早く出会うべきだった」と書いていたのが、ファインマン「ご冗談でしょう、ファインマンさん」であった。この本はたくさん売ったし、「ファインマン物理学」(岩波書店)だって随分売ってきた。とんでもなく面白い人だということは聞いてはいたが・・・。まさにその通り! 実に自由奔放、すべての権威から自由である、あるいはあろうとしている。好奇心、ノーベル物理学賞受賞者にして画家、ドラム奏者、金庫破り・・とにかく行動は自由だし、頭の中はもっと自由。もっと早く出会うべきだった。でも、いま出会えてよかった、と思う。元気にさせてくれる一冊である。(2010年10月17日)


2025年2月11日火曜日

手捻り陶芸 備前焼のフリーカップが出来上がりました 「 「騙されない!」ための経済学 モリタク流・経済ニュースのウラ読み術」

  昨年12月に体験手捻り陶芸で作ったフリーカップが焼き上がりました、と連絡があったので早速取りにいきました。

 形はちょっと歪ですが、素人なので仕方ない。色はいい感じ。模様は藁が作る造形です。何飲もうかなぁ。



 森永卓郎さんが亡くなって、「がっちりマンデー」ではその追悼番組をやっていました。「がっちりマンデー」の森永さんはとてもよかったんですが、最近のというか、ここ10年以上の彼の著作は眉唾。陰謀論に絡め取られてしまったという感じ。
森永卓郎「「騙されない!」ための経済学」PHP新書 ISBN: 978-4569648972

 騙そうとしているのは、権力であり、金持ちであり、エスタブリッシュメントである。騙されるのは、ほとんどの国民である。ねずみ講のような、単純な話ではない。権力者、資本家はもっと巧妙に国民から収奪する。マスコミももちろん、同様である。それが、資本主義の本質である。 という、筆者の考えは正しい。

 「本物の金融リテラシーを身につけたいと思うなら、普通の生活感覚を持つことのほうがよっぽど重要なのです。要するに、ものの持つ価値に対してつけられている価格が高すぎる、あるいは安すぎるということを、皮膚感覚で判断できるようになりなさいということです。」というのは正しい。
したがって、上海のマンションが2-3億するのも、ロンドンの地下鉄の初乗りが800円もするのも・・・おかしい、という感覚は正しく、いつかこのバブルははじける。しかし、それがいつかは永遠にわからない。。。ガルブレイスはそう言ったらしい。

 著者の主張の多くは正しい。ただし、僕らはこの森永氏にも騙されてはならないのである。彼の主張を客観化するために、僕らは経済学を学ぶしかない・・というパラドックス。

 実際、国債や為替と購買力平価の主張は、? である。間違っていると、普通の庶民の感覚からすると思ってしまう。僕の直感のほうが正しいような気がする。(2010年11月14日 記)

2025年2月10日月曜日

古本屋さんの棚づくり 柱を立てました 「酒を主食とする人々」

  先日ペンキを塗って乾かしていた書棚の柱。10本の柱にチャンネルサポートを取り付けて、とりあえず設置しました。明日、棚板を買ってきて、切断、ペンキ塗り、棚受けに取り付けの順で棚を作っていきます。書棚は完全DIYです。さて、どうなるかなぁ。



 この著者の本、ことごとく「やばい」。現代科学の常識を覆す「酒を主食にする人々」はいたって健やかだという。酒は体に悪いどころか、病人も妊婦も子どもも酒を主食に生きている・・・という話。

 僕も毎日飲んでいるけど、欠かすことはないけど、さすがに主食ではない。この辺りの「甘さ」が決して健やかではない要因だろうか。

高野秀行「酒を主食とする人々」本の雑誌社 ISBN: 978-4860114954

 テレビ番組「クレイジージャーニー」の取材でエチオピアの酒を主食とする人々を訪れる。高野の旅だから、当然予定通りにはいかない、破茶滅茶な旅である。でも、実際にとんでもないのは、酒を主食とする人々が本当にいた! ことだった。

 朝食も昼食も、もちろん夕食も、小腹が空いても、喉が渇いても、お酒を飲む。病人も妊婦も子どももである。そんな民族が実在する。テレビ取材だから、いつもの著者の旅と違ってとても短い期間だけど、それでも著者は一つの家族と生活を共にし、彼らと同じように「食事」する。3日もすると、固形物を食べるのに苦労するようになる。顎が弱っているのである。最初は「?」な味だったお酒が、とても美味しく感じるようになる。喉が渇いて、そのお酒を飲むとホッとするようになる。

 アルコール度数5度程度のお酒を毎日5リットル程度飲むという。それでも、仕事をして、生活もきちんと回っている。地元の医者によると、彼らの体調はすこぶるいいらしい。周りの他の民族と比較しても身体は頑強で、内臓にも問題ない。医学の常識を疑った方がいいかもしれないと、著者はいう。
 
 著者の考察はこうだ。アルコールが体に悪いわけではない。飲み過ぎが悪いわけでもない。一緒に固形物を食べる、ついつい食べ過ぎる、そのことが問題なのではないかと。問題は食べ合わせじゃないかと。

 現実に目の前に酒だけですこぶる健康に生きている人たちがいるのだから、というのは酒飲みの戯言だろうか。

 参考文献が面白い
砂野唯「酒を食べる エチオピア・デラシャを事例として」(昭和堂)
篠原徹「ほろ酔いの村 超過密社会の不平等と平等」(京都大学学術出版会)

大学の先生って、こんなところへも行って調査をしている。この国はこんな研究を好きなだけやってもらう、パトロンのような国になればいいよなぁと思うのであった。(2025年2月10日 記)


2025年2月9日日曜日

今日も雪かきからスタートです 「サハラに死す」

  今日も雪かきからのスタートでした。


 昨日書いた、ラクダでサハラを旅する青年の本。

上温湯隆「サハラに死す」山と渓谷社 ISBN:978-4635047500

 1974年21歳の青年がモーリタニアのヌアクショットを相棒のラクダ サーハービーとともに出発。サハラ砂漠を単独横断し、7,000キロ先のポート・スーダンを目指した。まだ誰もなし得ていない冒険はしかし、志半ばで死す、ことになる。

 彼の日記や手紙でこの冒険を再構成。21歳の青年は、生きるためにそこへ行かなければならなかった。生き続けるために、行くしか無かった。

 日記に記される「自信」「希望」「絶望」。それらが常に行き来する、それこそが「若者」であることの証。2020年が終わろうとしている今でも、1974年の若者の冒険は普遍性を持ち得ている。

 角幡唯介の解説が全てを語る。「冒険を希求しない若者など、若者であることの権利を放棄した抜け殻のような存在にすぎない。若者が冒険を放棄した時、それは人間が生きているという経験を求めることをやめたときであり、同時に人間がその能力の一部を失って、人間であることをやめる階段を一段降りたときにほかならない。」(2020年12月30日 記)


2025年2月8日土曜日

大雪警報の美作 「ロバのスーコと旅をする」

  木曜日は、かつて仕事でお世話になった方と岡山で。金曜日に東広島へ移動して仕事。夜の雪道は怖いなぁと、予定外で東広島で宿泊。今日は東広島の道路は凍っていたけど、山陽道から美作中心部までは問題なし、だけど自宅の10km位手前から雪道。そして帰ってきたら・・・・

10cmくらい積もっていました。大雪警報が出てたので、40cm位は覚悟していました。よかった。


雪かきをして、そして雪だるまを作りました



 歩いたり、リヤカーを引いたりの旅の本はいくつか読んできたけど、ロバと旅する本は初めて。そういえば、ラクダでサハラを旅する青年がいたことも思い出しました。
高田晃太郎「ロバのスーコと旅をする」河出書房新社 ISBN:978-4309031200

 ロバのスーコと旅をするのはモロッコ、その前のトルコはロバのソロツベと旅をし、その前のイランで旅したロバには、名前はない。

 ただ歩く旅ではなく、ロバと一緒に歩く。コロナ明けの2022年イランに舞い降りた著者は、現地でロバを買い、共に旅する。追い剥ぎにあったり、犬に襲われたり・・・完全に安全な旅ということではないが、多くの人たちの親切で旅を続ける。交通機関を使えば安全な旅ができるんだけど、路上を歩き、路上に寝る旅は、それが日本だってリスクがあるように、同じ程度にリスクを抱えながら旅を続ける。そんなリスクを抱えても、個性あるロバとの旅は楽しい。(2025年2月5日 記)

2025年2月5日水曜日

なんでもありか? アメリカがガザを所有?  「服従」

  今日も極寒なので、暖かいリビングで確定申告。まあ、割と簡単に終了。


 トランプ大統領はアメリカがガザを所有すると言い出しました。カナダ、メキシコには関税を使って恫喝し、パナマ運河やグリーンランドもよこせと言う。やりたい放題。ただ、ガザを「所有」するなんて多分誰も考えたこともないことを思いつく発想は、ある意味すごい。

しかし、感心している場合ではない。世界は束になってなんとかしないと、気がついた時にはみんな長いものに巻かれている、ってことになりかねない。

これは、そんなことをつい考えさせられる小説です。

ミシェル・ウエルペック「服従」河出書房新社 ISBN:978-4309206783

 フランス近未来小説? 穏健派イスラムが政権を取り、次第にイスラム化していく社会。知識人たる大学教授たちは、自らの幸福のために、改宗していく。

 フランスがイスラム化するかどうかはともかく、主人公にフランス知識人を代表させているとすれば、フランスの知識人たちは「知」よりも「痴」に生きているということ。本当のテーマは知識人の没落、というところではないか。(2016年10月1日 記)


2025年2月4日火曜日

古本屋の棚づくり再開 「死に山」

  材料が揃ったので、棚作りを再開。

 昨日、天井までの高さに合わせて棚柱を切って、配置を決定。今日、ペンキを塗りました。

 冬なので、完全に乾くまで2日程度かかります。従って、次の作業は金曜日以降です。


 今シーズン最強寒波の到来。極寒の山では何が起こるかわかりません。気をつけましょう。
ドニー・アイカー「死に山」河出書房新社 ISBN: 978-4309207445

 1959年、雪のウラル山脈をトレッキングする学生9名のグループに起こった遭難事故。全員が死亡。テントから1キロ以上離れた場所で発見される凄惨な遺体。氷点下の中で、誰も靴を履いてなく、衣服もきちんと身につけていないものも。外部からの強度の力による頭蓋骨折や胸部骨折のもの、舌がなくなっているもの・・・。衣類からは放射能も検出される。そして、当時の最終報告は「未知の不可抗力」によるものと結論づけた。

 半世紀以上経った今、アメリカ人の著者がその謎に挑む。宇宙人説、ソ連の秘密実験説、野生動物説、少数民族説、近くのラーゲリからの脱走者説、雪崩説や暴風説・・・・。シャーロック・ホームズのように全ての可能性を潰していった。著者は自ら厳冬の、遭難が起こったのと同時期の遭難現場「死に山」に足を運び、そして・・・・。確かに「未知」の現象によって引き起こされた事故だったとの結論に。ただし、現在では「既知」の現象だった。恐るべき、自然の現象だった。

 事実を持って真実に近づいていく描写の迫力が、極寒の描写の中に、手に汗握る。心臓が早打ちし、息が上がっていく。そんな久しぶりの読書体験。(2018年12月24日 記)








2025年2月3日月曜日

今朝の朝日新聞に一面特集 「謎の独立国家ソマリランド」

  今朝の朝日新聞を見てびっくり。ソマリランドのことがまるまる一面紹介されていました。(記事は→こちらです)選挙で政権交代するような民主的な国なのに、世界中のどの国も国家承認していない。世界って、どう言う仕組みなんだろう?

 日本で最初にソマリランドを紹介したのはこの本でしょう。昨日に続き、高野秀行の本です。

高野秀行「謎の独立国家ソマリランド」本の雑誌社 ISBN: 978-4860112387

 すごいルポ。でも著者が高野だから、旅をしているようなのである。久々に大興奮した大著!

 全土がリアル「北斗の拳」状態だと多くの人が信じている崩壊国家と言われる旧ソマリア。しかしそこに、独立を宣言して十年以上も平和を維持し、民主的な選挙で大統領を選び、平和裡に政権交代が行われている「国」が存在する。著者によると、国内に紛争を抱えているタイやミャンマーよりもずっと安全なのだそうである。それがソマリランド。独特の氏族社会、その掟、独立後の2度の内戦から学んだとんでもない知恵・・・・。著者は夜な夜なのカート宴会でその秘密を探りだす。そして、日本の2院制なんて意味がない、と喝破してしまうほど「正しい」独自の議会制度、民主主義の仕組みを作り出した秘密を暴き出してしまうのである。

 当たり前だが、政治や民主主義を語る本ではない。何しろ高野である。基本的にUMA(未確認生物)を探す探検と同じように、彼にとっては、発見されていない未知の事実を探る旅なのである。無茶苦茶な旅なのである。そして、それを追体験できる幸せなのである。(2015年6月6日 記)



2025年2月2日日曜日

ミャンマーのクーデターから4年 「ビルマ・アヘン王国潜入記」

  今日は、ちょっと鳥取へ。名物・豆腐ちくわを買って帰りました。


 今日でミャンマーの軍事クーデターから4年だそう。やっと民主的な国づくりが軌道に乗ってきたなぁ、個人旅行者も行き始めていたところだったのに・・・

 その民主制の前の軍政の時代、まだミャンマーがビルマだった頃の国境地帯に潜入した日本人がいた。この本を読んだ頃、民主化する前の軍政だった。それから民主化を経て、今また軍政化にある。

高野秀行「ビルマ・アヘン王国潜入記」草思社 ISBN: 978-4794208491

 
 98年の出版だからもう随分前の話になるのだが、たぶんワ州あたりは変わっていないだろう。軍事政権はまだ続いている。著者は日本人であることを隠して、中国からビルマ・シャン州の州内州とも言うべきワ州に潜入する。目的は、ケシの種まきから収穫までを半年にわたり辺鄙な村で村人と一緒に農作業しながら過ごすことである。農民と生活するなかから、アヘンと軍閥ワ軍の関係、やっぱり農民は搾取されているだけだという関係、軍の腐敗、アメリカの謀略まで・・見つめていく、気がついていくのである。確かにそうなんだけど、そんな腐敗の摘発に燃えているとか、そういうのでは決してなく、結局自らアヘン中毒になってしまういういいかげんさが、とても気持ちいい。それにしても、地球上にはまだまだよくわからないところが多いのである。知られていないところが多いのである。ただ、このワ州だって地理的に隔絶されているわけではない。車で1-2日も行けば、タイ国境で、そこにはセブン-イレブンだってあるのだ。それほど「文明」に近いのだけど、政治的にはそれがものすごく遠いのである。著者の滞在した村にはラジオすらないのである。村人は世界にはビルマと、中国とワ国しかないと思っている、そんなところなのである。すぐ近くにセブン-イレブンもあるのに。
いやー、行けるものなら行ってみたい。(2010年8月12日 記)


2025年2月1日土曜日

プロ野球キャンプイン 「1988年のパ・リーグ」

  今日も寒い。午後からは雨。5月の旅行の計画をする。旅行は計画するときから楽しい。

さて、プロ野球がキャンプイン。これから毎日野球がニュースになる。カープももう7年も優勝から遠ざかっているらしい、あの頃は強かったなぁ。

 プロ野球の現在の隆盛の始まりはここにある。

山室寛之「1988年のパ・リーグ」新潮社 ISBN:978-4103527312

 1988年10月19日夜10時過ぎ、僕はニュースステーションに釘付けだった。ロッテ対近鉄のダブルヘッダーの第2戦、近鉄が勝てば優勝というゲーム。このシーズンの後半からこの日のダブルヘッダー第1戦、そして第2戦の10回表までの長い長い奇跡の物語を締めくくる残酷な結末に、釘付けだった。そのことは、今でも覚えている。
 その年、阪急ブレーブスと南海ホークスが身売りした。そしてそのことは、全く記憶に残っていなかった。30年前の、まだパ・リーグがセ・リーグの後塵を拝していた頃の、物語。

 この年のこの身売りが今のパ・リーグの隆盛の遠因となった。いろんな意味で「奇跡」の年、の舞台裏をたくさんの関係者の証言でたどる。(2019年8月19日 記)