2025年3月18日火曜日

試行錯誤 「書店風雲録」

 昨日、旅の本については並び終えた・・・んだけど、全体を見渡すとなんだかしっくりこなくて、並べていたコミックスを全部引っ込めて、「本の雑誌」と椎名本を並べ替えて・・・なんてことをしていたらあっという間に時間が経ってしまいます。


 棚に収まっていない本が後これだけあります。やはり、DIYで後少し棚を作らなければならない感じです。


 本屋の棚を作る、ということではかつてのリブロ池袋店の「今泉棚」が未だに僕の理想。今度の本屋さんでも、目指すところはそこ!  今泉さんの「弟子」である田口さんのこの本に、今泉棚のことは詳しい。ずいぶん古い本だけど、今の書店員さんには読んで欲しいなぁ。


 田口さんは現在ジュンク堂池袋本店の副店長。業界人なら誰でも知っている方だろう。当然リブロにおられるときからその名声は業界には響き渡っていて、彼女がジュンク堂に行く、って聞いたときには驚いたものである。
 その彼女が書いたリブロ池袋店の話である。面白いに決まっている。75年から95年頃まで、その中でも今泉さんが店長をされていたころの話が中心である。浅田彰「構造と力」なんかがベストセラーになった頃で、人文書が幸せな時代だった。86年から書籍の仕事を始めた僕の軌跡とまったく重なって、文中に出てくる本の一冊一冊に、そうだこの本はよく売れたとか、この本とこの本はこんな関係で、そうそうこの本の隣にはこんな本を置いて・・・なんていちいち懐かしいのであった。あの頃、リブロの今泉棚は僕ら人文書担当にもひとつの目標で、リブロ詣、今泉詣も盛んであった。僕も何回かその今泉棚を見に行ったし、今泉さんの話を聞いたりもした。感動して、何とか自分のお店でも表現できないかと、苦心した記憶がある。所詮僕には難しい話ではあったのだが。この本によると何しろ今泉さんの当時の交友関係がすごすぎる。吉本隆明はもとより埴谷雄高、中沢新一、山口昌男、今村仁司・・・こんな人たちに仕事が終わったら会いに行って、思想やその他もろもろの話をしていたのだ・・そりゃかなうはずがないのである。人文書といえばリブロという時代だった。そのリブロも今はもう、西武セゾンの手を離れ、大手取次の傘下に入ってしまった。

  新刊書店として初めてリブロがバーゲン本フェアをやったことにいきさつをこの本で僕は知った。当時再販制度は風前の灯、という雰囲気だった。業界としては何としてでも再販制度を死守したい、でもどうすればいいのかわからない、といった状況だったと思う。バーゲン本フェアはそんな中で、再販制度の弾力運用ということで公取から、たぶん暗に強制(そういっては身も蓋もないか)・・・そういう雰囲気をいくつかの出版社が読み取って企画したものであったのだろう。それに当時の田口店長は乗った・・・。しかし、そこには書店組合や取次や出版社のいろんな思惑が交差して・・田口店長は大変な目にあったのだ。再販制度が撤廃されればそれは田口のせいだ・・そこまでいわれる中でフェアは成功し、バーゲン本フェアは一般的になり、再販制度は結局当面維持されることになったのは、みんなの知るところである。それにしても、この最初のフェアを強烈に批判した大取次の傘下になってしまうとは・・。

  この本に登場する何人かとは僕も話したことがあるし、飲んだこともある。そういう意味でも、この本は僕自身の書籍担当時代の物語でもあるのであった。やっぱり懐かしいのである。
そして、書店員とはこんなに楽しいのだ、ということを改めて思い出させてくれる。出版社や編集者、著者との関係、そして何より棚を通してのお客さんとの幸せな関係、書店員というのはこんなにも楽しいのである。(2004年 記)

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