先日お電話いただいた方が、少し昔の児童書を持って来店されました。児童書の在庫がほとんどなかったので、店頭に並べてみようと思います。
ヒースロー空港の直前で着陸態勢に入ったアンゴラからのBA便の主脚格納部から墜落して死亡した26歳の男の人生を追うノンフィクション。主題はアフリカ人がアフリカ人を奴隷のように扱う現状と、行政の不正、絶対的な貧困なんだけど、僕が興味を持ったのは、その男性が欧州を目指すことになった要因の一つとなった女性の人生。実はこちらも凄まじい。
女性は82年生まれ。父親は英国人で母親はスイス人。母方は祖母がブラジル人で祖父がドイツ人。国籍はスイスとドイツで、望めばイギリス国籍もすぐに取れる。日常的に母親のフランス語、父親の英語、祖父母のポルトガル語とドイツ語に囲まれて育った。2歳の頃から家族でサハラ砂漠に渡り、ランドクルーザーで移動しながら、モロッコ、アルジェリア、モーリタニア、マリ、ニジュール、ナイジェリア、カメルーン、チャド、中央アフリカと行く先々で車を止めてテントを張った。そのように7歳まで暮らした。その後高校まではジュネープにある、国連の機関に働く人たちの子女が通う国際学校で教育を受ける。高校在学中にカメルーン出身で富豪、2歳年長の同じ高校の男性と結婚。18歳でイスラム教に改宗。そのあと同居することもなく、高校を卒業してイギリスの大学で学ぶ。2008年に南ア、ケープタウンの豪邸で一緒に住むようになるが、まるで幽閉されているような生活。ただ、お金の心配だけは無用であった。そこで、住み込みの庭師だった件の男性、墜落した男性と出会う。そして、二人でケープタンウの豪邸を脱出。男の故郷、モザンビークに逃げるが、資金もつき、路上での生活に。死の間際まで追い詰められて、母を頼って一人ベルリンへ。そこで生活を立て直して、ジューネーブへ再び。カメルーン人の夫と正式に離婚して、今はガンビア人の夫と暮らしている。
いやはや、こんな人生もあるんだ。何々人とか、国籍は何々・・とか、そんなことを完全に超越している。こんなふうに、いずれ地球人になっていくのかなー、と感じたのであった(2016年7月記)


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