2025年8月30日土曜日

岡山 表町ブックストリートに出店します 「ブックセラーズ・ダイアリー」

  昨日「なんとなく夏が終わりかけているような気候になってきました。」って書いたばかりですが、今日はとんでもなく暑くなりました。蔵の中も30℃を超えています。

 さて、10月13日(月・祝)に開催される「おかやま文学フェスティバル 表町ブックストリート」への出店が決まりました!!

 このようなイベントに参加するのは初めてです。だから、古書市ではなく個人の一箱古本市に参加します。搬入も、展示も、お客様や出店者の皆さんとの交流など、何もわかりません。今回はお試し参加で、たくさん勉強させていただくことにします。
 でも、一箱には渾身の本たちを持っていきます。


今日のお勧め本


 ベストセラーになっているこの本、先日第3巻も出ました。

 「こんなお店一年以内に絶対潰れるよな」と高校生の時に話していた古書店を、30歳で買ってしまった店主の一年。
 
 ライバルはamazonのキンドル。店内では撃ち抜かれたキンドルがインスタ映えする。でも一方で、amazonマーケットプレイスから注文は重要な収入源。それに、この本はamazonのキンドル版がベストセラーになったらしい。

 古書店を訪れる一癖も二癖もある客。客にも増して個性ある従業員。古書の買取、ブックフェスティバルのあれこれ・・・・。10万冊も在庫のあるスコットラン最大の古書店の毎日が「楽しい」。(2022年3月 記)


2025年8月29日金曜日

夏も終わり? 9月の営業スケジュール決定しました 「手塚治虫と戦争」

 ここ美作の中心から少し離れた私の住んでいる地域は、なんとなく夏が終わりかけているような気候になってきました。日差しのある日中はまだまだ暑いのですが、朝夕はすっかり過ごしやすくなりました。 

 さて、9月のスケジュールを決めました。基本的に、金・土・日・月の営業です。ただ、時々それらの曜日もお休みする場合があります。


 少し涼しくなってきて、蔵の中も過ごしやすくなってきています。皆様のお越しを心からお待ちしています。9月もよろしくお願いいたします。




 テレビ小説「あんぱん」では「やなせたかしと戦争」。やなせたかしがすごい、かなわないと言った手塚治虫の「手塚治虫と戦争」。

今日のお勧め本

 手塚治虫の「戦争」関連の漫画のアンソロジー。それといくつかの彼の言葉。
 実際に大阪空襲で九死に一生を得た経験と、その後の知識、論理的帰結としての戦争反対、平和の希求が通底する作品群。戦争がいかに不条理なものか、そして人間がいかに不完全なものかを描いています。人間は戦争を起こすもの、として描かれています。そうならないために、僕らはどうしなければならないかを手塚は問うている気がします。

 驚きなのは、彼がまだ16歳だった1945年の日記です。こんなことを書いています。「敵は量に於いては残念乍ら我が国よりも勝れている。が、人的努力は我が国の方が幾千倍も強い。故に、まず第一は敵の人間を失わしめる事だ。米鬼を殺すのだ。殺して、殺して、殺し尽くしてしまえば、物的攻撃何を恐るるに足らんやである。」
 
 しかしその後の大阪空襲での体験(収録作品「紙の砦」)、そして戦争が終わった日には「私はバンザイをし、涙をこぼしました。心の底からうれしかった。平和の幸福を満喫し、生きていてよかったと思いました」と後の講演で語っています。

 多分、戦前戦中を生き延びた多くの人々が、そういう歴史を持っているのでしょう。(2025年8月 記)


2025年8月25日月曜日

自然科学分野専門書の選書250冊 「幻のアフリカ」

  今日はお客様のご来店を待ちながら、「この1年間に発行された自然科学分野の書籍で、大学の教養教育の学習用図書として300冊ほど選書」してほしいという依頼を受けていた分についての作業を進めました。教養教育用なので、極端な専門書は避けなければなりません。まずは1200冊ほどリスト化して、これは専門的すぎる、これは大学生向けじゃない、これをやっている学部学科はないよなぁ、などと考えながら適当ではないと思われるものを除くと250冊あまりになりました。ご依頼よりも少し少なくなったのですが、これで提出。



 第9回TICAD(アフリカ開発会議)が開催されました。
 アフリカの人口は2024年の約15億人から2100年には約38億人まで増加し、世界人口の3人に1人以上を占めると予測されています。日本はもっともっとアフリカにコミットしていく必要があるでしょう。それは、今日本で生きる僕らにとっても、これからの日本にとっても。アフリカを支援、アフリカに投資することは、より良い日本と世界のためになることでしょう。

 アフリカについての本、アフリカを旅した本。



今日のお勧め本

 ダカール=ジブチ、アフリカ横断調査団(1931-33年)――フランスに「職業的で専門化した民族学」が生まれた画期。本書は書記兼文書係としてレリスが綴ったその公的記録である。だが、客観的な日誌であるはずの内容には、省察(植民地主義への呪詛)、夢の断片や赤裸な告白(しばしば性的な)、創作案、等々が挿入され、科学的・学術的な民族誌への読者の期待はあっさり裏切られる。刊行当時は発禁の憂目にあったのも当然であるが、この無垢で誠実なレリスの裏切りのなかにこそ、大戦間期のアフリカが立ち現われる逆説、奇跡の民族誌。

2025年8月24日日曜日

みまちゃんネル効果は抜群!? 「私、山小屋はじめました」

 ショートメールで「みまちゃんネルネットで見ました。実家が美作にあります。今度帰省した時にお寄りします」という嬉しいメッセージ。首を長くして待ってようと思います。

 YouTubeのこの番組を見ていただきました。



今日のお勧めの本



  本書は、幾つもの山小屋でアルバイトしていた著者が、山小屋の管理人募集情報をインターネットで見つけて応募して採用されて、コロナ禍の中で準備して3年間営業して、4年目を迎えようとしている2025年春までの記録である。管理する小屋は南アルプスの光小屋。光と書いて、「テカリ」。

 低山の日帰り登山の経験しかない私は、いつか日本アルプスの「山小屋」に泊まりながら3000m級の高山に登りたいと思っている。しかし、山男ではない私は「山小屋」に泊まるってどんな感じなのかそのイメージが全くなかった。本書で、山小屋の「仕組み」を知る。

・光小屋の所有者は静岡県の川根本町。地方自治体が大家さんの山小屋も多数あるらしい。

・夕食や朝食を提供する小屋もしない小屋もあること。1年目の光小屋は夕朝食を提供したが、2年目の光小屋は提供しなかった。そして、3年目には提供した。

・夕朝食付きで1泊12,000円なこと。相場感としてはこんなものなのかなぁ。

・予約は最初は町役場の方が電話で受けていたこと、今はインターネットのみで受け付けていること。

・ベッドやトイレ事情・・・・・

 著者=管理人さん、厨房長高橋くん、ともちゃん、くみちゃん、前任者の原田さん、鳳凰小屋の細田さん、町役場の人々・・・それぞれいろんな体験、バックボーンを持つ人々は誰もがとても魅力的。山よりも魅力的かもしれない光小屋に行ってみたい! この人たちに会いたい! と思わせてくれる。

 ただ、山小屋管理の実際は、とても厳しい。何しろ、二千数百メートルの高所にあるわけで、一々がとても大変なのです。その辺りも本書には詳しい。だからこそ、そこで働く彼女らがとても魅力的なのだけど。(2025年8月記)

2025年8月23日土曜日

沖縄尚学、甲子園優勝おめでとう 「炭鉱町に咲いた原貢野球」

  今年の甲子園・高校野球は公立高校の躍進、劇的なタイブレーク、緊迫した接戦が多くて大いに盛り上がりました。そして、戦後80年の節目に沖縄の高校が優勝したのも何かの導きかもしれません。沖縄尚学高校おめでとうございます。


 高校野球といえば、たぶんどの地方にも語るべく何かがあることでしょう。その地方にしかない、その地方だけで語られ続ける物語。

 僕の田舎は、大牟田市です。炭鉱の街です。1963年の三川坑の炭塵爆発とその前の三池争議で打ちのめされた町。その町にある公立高校・三池工業高校が甲子園初出場・初優勝を成し遂げたのが1965年。僕が生まれたのはその炭塵爆発の2週間ほど後のことで、もちろん三池工業の優勝についての直接の記憶はありません。この後も三池炭鉱の衰退、閉山に伴って大牟田市も現在まで衰退するばかりです。そんな町の市民にとっては、今でも三池工業の優勝は大切な大切な物語になっています。

 大牟田市民以外にとって原貢は原辰徳の父、として知られているんでしょう。


2025年8月22日金曜日

YouTubeの「株式会社みまちゃんネル」 チャンネルにBooks tabito 蔵 の紹介がアップされました

  7月に地元テレビ局で放送された「あなたの出番です!」が「株式会社みまちゃんネル」チャンネルにアップされました。3分ちょっとの動画です。ご覧いただければ嬉しいです。そしてお越しいただければ、もっと嬉しい!!


 動画でも紹介していますが、旅の本が中心の古本屋です。もちろん、小説などのフィクション、コミック、紀行以外のノンフィクション、児童書、洋書もあります。


 今日のお勧めの本

カール・ホフマン「脱線特急」(日経ナショナルジオグラフィック社) ISBN:978-4863131101
 
 ちょっと古いのですが、こんな旅にもちょっとだけ憧れます。

とにかくいちばん危険で、混雑していて、遅くて、安あがりな手段だけを使って、命がけで移動する旅を選択した。地元の人びととすし詰めになり、板の間で重なりあうようにして眠る旅が、彼にもたらしたものとは。」


2025年8月17日日曜日

iPhone壊れかけています 「地図なき山 日高山脈49日漂泊行」

  3日前にiPhoneが壊れかけているのに気がつきました。本体とモニタが離れてしまいそうになっています。中が見えています。

 8年前に買ったiPhone X です。さすがにもう古過ぎですね。諦めました。それですぐにdocomo onlineで最新のiPhone16eを買って、今日届いたので、お客様をお待ちしながらセットアップ、旧機からの移行をしました。iPhoneを持っていても、多分その能力の1/20も使っていない気がします。ただ、ずっとiPhoneを使っているので、惰性で使いづけているという感じです。高い買い物になってしまいました。


 さて、北海道知床半島でヒグマと人間の遭遇、人間に被害が出ていますが、この人はそれでも山に行くんでしょう。


 地図上にはもはや空白がなくなってしまった現在、新しい冒険、探検はどこにあるのか?  かつて「空白の5マイル」でチベットのツアンポー峡谷の空白を埋めてしまった著者の答えは、地図を持たない「登山」だった。著者にとって未知の山域である日高山脈を地図なしで漂泊した4回、都合49日の記録。

 チベットの峡谷や極北、辺境の冒険家である著者にして、2000メートル程度の日本の山域が地図がないだけで冒険のフィールドになってしまう。「人が生きるには未来予期が必要だ。未来予期こそ人間の第一の存在基盤である」のに、地図がないだけでその滝の向こうに何が広がっているかわからない状況は存在基盤が脅かされる怖れを抱くには十分だった。

 特に最初の漂泊は、著者のツアンポー峡谷の探検を彷彿とさせるもので読者はその「怖れ」を共有するものとなった。

 著者が後書きで書いているが、1回目の漂泊と2回目以降の漂泊の間には大きな断裂がある。2回目以降の漂泊はより山と身体が一体化し、読者は「怖れ」ではなく「楽しさ」を共有することになる。

 「怖れ」も「楽しさ」もページをめくる手が止められない。(2024年11月記)

2025年8月16日土曜日

何様のつもり? 「旅をする木」

  トランプ大統領とプーチン大統領がアラスカで会談。何様のつもりなんでょうか?  彼らは世界を支配しているつもりなんでしょうね。世界は意のままになるとでも思っているんでしょう。でも、そうなるのかもしれません。怪談です。


 アラスカは美しい場所です。

「広大な大地と海に囲まれ、正確に季節が巡るアラスカ。正確に季節が巡るアラスカ。1978年に降り立った時から、その美しくも厳しい自然と動物たちの生き様を写真に撮る日々。その中で出会ったアラスカ先住民族の人々や開拓時代にやってきた白人たちの生と死が隣り合わせの生活を、静かでかつ味わい深い言葉で綴る33篇を収録」

2025年8月11日月曜日

この雨では仕方ないです  「墜落の夏 日航123便事故全記録」

  今日は終日ひどい雨。お客様が来そうな気配はゼロで、その通りになりました。つい先日までは渇水で、夕立でもいいので少しの雨を・・・と望んでいたのですが、ちょっと降りすぎです。明日も雨の予報です。


 さて、御巣鷹山に日航機が墜落してから明日で40年。1985年8月12日のことでした。この頃、僕はノイシュヴァンシュタイン城観光の拠点、ドイツのフュッセンにいました。街中を歩いているとき、日本人だと知った地元の方がドイツ語で「日本で大変なことが起こった」とたぶん言ったんだと思いますが、新聞を広げて見せてくれました。そこには、墜落した機体の写真と520の大きな文字が・・・。日本で飛行機が墜落して520名が亡くなったんだと、すぐに理解しました。ただ、まだインターネットなどはない時代で、ドイツ語も英語もできない僕にはそれ以上の情報を得ることはできませんでした。その10日後、40日の旅を終えた僕は帰国し、8月13日以降の新聞を読み漁りました。衝撃でした。

この本(古本)は Books tabito 蔵 で販売しています

 85年の東京発大阪行き日航123便の墜落事故の全記録。これまで、「沈まぬ太陽」山崎豊子(新潮社)、「墜落の背景」山本善明(講談社)など、この事故を題材にしたフィクションやノンフィクションを読んできたが、この本は始めて、墜落の背景にある現代の「文明」そのものに目を向けている。ジャンボの設計思想と、人間そのものの持つ不確かさ、それはそもそも絶対に相容れることはないのではないかということ。とことん突き詰めれば、人間はシステム同様、限りなく無機質な非人間的存在になっていかざるを得ない。しかし実際にどうも人間がそのようにされつつあるのではないか、という批判にまで進んでいく。

以下は、産経新聞の数日前の記事です。

 「中野洋昌国土交通相は8日の閣議後会見で、原因となった後部圧力隔壁の修理ミスについて、米ボーイング社や米連邦航空局(FAA)に対し、背景を明らかにするよう確認を進めていることを明らかにした。日本側にない情報を米側が把握していることが産経新聞の報道で判明したためで、長年の遺族の疑問の追究に国が動くことになった。」

 まだ何も終わっていません。

2025年8月10日日曜日

釜本邦茂さん亡くなる 「28年目のハーフタイム」ほか

  今日は福岡に住む大学時代の先輩にご来店いただきました。いつものように、昔話に花が咲きました。

 さて、釜本邦茂さんが亡くなられた、という報が入ってきました。歴代の日本サッカー選手の中でたぶんダントツにすごいストライカーだったと思います。僕はもちろん彼の全盛期は知りませんが、メキシコオリンピックのビデオなどを見ると、今でもまだ彼がダントツだったと思います。あの頃にヨーロッパへ行っていたら、すごいことになっていたでしょう。

 彼が得点王になって銅メダルを獲得したメキシコオリンピックから28年ぶりに出場したのが、1996年のアトランタオリンピックでした。後のA代表でも主力になる中田、川口、城らのチームでした。

 28年間の冬の時代ののち、マイアミの奇跡(1996年)の前のドーハの悲劇(1993年)からジョホールバルの歓喜(1997年)までの4年間は日本サッカーの再びの黎明期と言っていい時代でした。ワールドカップに出れると出れないか、ギリギリのところでずっと勝負していたので、予選の一試合一試合が今よりももっとずっと熱量を持っていました。そんな時代の本たちです。今読んでも、熱くなります。


 でもまだ、釜本邦茂さんを超えるストライカーは出てきていない、そう思います。

2025年8月9日土曜日

ご縁?  「ファブリこども世界名作シリーズ」

  今日は遠くからご来店いただきました。以前にご来店いただいた方から聞いて・・ということでした。そして偶然にも、別の共通の知人がいることもわかりました。不思議ですね。面白いですね。少し話をして、お店は気に入っていただけたようです。嬉しいご来店でした。

 先日持ち込んでいただいた絵本です。

 表紙周りは一冊ずつ重曹を使って綺麗にしました。本文はどれも綺麗です。50年も前の本とは思えません。どうぞお店で、手に取ってみて下さい。今の子供たちにもきっと楽しんでいただけると思います。

2025年8月8日金曜日

webにアップしています 「ようこそ、ヒュナム洞書店へ」

  昨日の雨のおかげで大地が冷やされたのでしょう、今日は少し涼しく感じます。蔵の本屋の中は、12時過ぎで26℃でした。このまま、過ごしやすい日々が続くといいのですが。

 今日は、書店関係の本をweb(メルカリ)にアップしていました。先日も書いたのですが、基本的に数百円の本が多いので、送料などを考えるとwebで販売できる本はそう多くはありません。


 この本、お勧めです。暑い夏に、心が温かくなります。


 本屋大賞 翻訳小説部門第1位。まるでその本屋さんがそこに存在しているうな小説。登場人物も皆、実在するかのよう。そして、読書論と人生論。

 ソウル市内のヒュナム洞に開店したその書店は、店主のヨンジュと、そこに居場所を求めて集まってくる人々とともにその地に根ざしていく。いろんな悩みや背景を持ったそこに集う人たちはその関係性の中で、答えを見つけていく。街にはこんな本屋さんが多分必要なんだと思う。

 本当にあればいいのに。

 「本は、なんというか、記憶に残るものではなくて、体に残るものだとよく思うんです。あるいは、記憶を超えたところにある記憶に残るのかもしれません。記憶に残っていないある文章が、ある物語が、選択の岐路に立った自分を後押ししてくれている気がするんです。何かを選択するとき、その根底にはたいてい自分がそれまで読んだ本があるということです。それらの本を全部覚えているわけではありません。でも私に影響を与えているんです。だから、記憶に執着しすぎる必要はないんじゃないでしょうか。」

 「ええ、幸せはそう遠くにあるんじゃない、ってことが言いたかったんです。幸せは、遠い過去とか、遠い未来にあるわけじゃなかったんです。すぐ目の前にあったんです。その日のビールのように」(2024年7月記)

2025年8月4日月曜日

持ち込みの児童書 「空から降ってきた男」

  先日お電話いただいた方が、少し昔の児童書を持って来店されました。児童書の在庫がほとんどなかったので、店頭に並べてみようと思います。


 今回の選挙時から排外主義的な言説が著しく増加した感じがします。でも、難民や移住者が発生する構造に目を向けなければ、世界はいつまでも不安定なままでしょう。構造を変えない限り排外主義は世界をより不安定にしていくばかりで、日本も当然そこに巻き込まれていくことになるのでしょう。

 この本は衝撃的です。そして、〇〇人なんてことを超越して生きている人が、実はもうたくさんいるのだろうということもわかります。

 ヒースロー空港の直前で着陸態勢に入ったアンゴラからのBA便の主脚格納部から墜落して死亡した26歳の男の人生を追うノンフィクション。主題はアフリカ人がアフリカ人を奴隷のように扱う現状と、行政の不正、絶対的な貧困なんだけど、僕が興味を持ったのは、その男性が欧州を目指すことになった要因の一つとなった女性の人生。実はこちらも凄まじい。

 女性は82年生まれ。父親は英国人で母親はスイス人。母方は祖母がブラジル人で祖父がドイツ人。国籍はスイスとドイツで、望めばイギリス国籍もすぐに取れる。日常的に母親のフランス語、父親の英語、祖父母のポルトガル語とドイツ語に囲まれて育った。2歳の頃から家族でサハラ砂漠に渡り、ランドクルーザーで移動しながら、モロッコ、アルジェリア、モーリタニア、マリ、ニジュール、ナイジェリア、カメルーン、チャド、中央アフリカと行く先々で車を止めてテントを張った。そのように7歳まで暮らした。その後高校まではジュネープにある、国連の機関に働く人たちの子女が通う国際学校で教育を受ける。高校在学中にカメルーン出身で富豪、2歳年長の同じ高校の男性と結婚。18歳でイスラム教に改宗。そのあと同居することもなく、高校を卒業してイギリスの大学で学ぶ。2008年に南ア、ケープタウンの豪邸で一緒に住むようになるが、まるで幽閉されているような生活。ただ、お金の心配だけは無用であった。そこで、住み込みの庭師だった件の男性、墜落した男性と出会う。そして、二人でケープタンウの豪邸を脱出。男の故郷、モザンビークに逃げるが、資金もつき、路上での生活に。死の間際まで追い詰められて、母を頼って一人ベルリンへ。そこで生活を立て直して、ジューネーブへ再び。カメルーン人の夫と正式に離婚して、今はガンビア人の夫と暮らしている。

 いやはや、こんな人生もあるんだ。何々人とか、国籍は何々・・とか、そんなことを完全に超越している。こんなふうに、いずれ地球人になっていくのかなー、と感じたのであった(2016年7月記)


2025年8月2日土曜日

8月の営業予定です  「NEXUS」

  みまちゃんネルの放送が終わってしばらく経ちますが、今日はお問い合わせの電話が2件ありました。ありがたいことです。お越しいただければうれしいです。

 さて、遅くなりましたが8月の営業予定表です。基本は金・土・日・月の営業ですが、お盆は15日(金)をお休みします。また、18日(月)は以前の職場へ行っての仕事がありますのでお休みです。こんな感じで少し不定期なお休みが入ります。暑い日々が続きますが、外気より少しだけ涼しい蔵のなかで、皆様のお越しを心からお待ちしています。


 さて、トランプ大統領は、自国の機関が出した雇用統計についてデマだとし、担当者を即刻クビにすると・・・・。今後は、アメリカ政府の出すさまざまに統計についても信じられなくなります。

 ユヴァル・ノア・ハラリが「NEXUS」で書いた事態が、まさに今目の前で進行中です。アメリカはもうすぐ、中国やロシアと同じ権威主義の国になってしまいそうです。こう書いています。

「強権的な指導者が民主制を切り崩すのに使う最もありふれた方法は、自己修正メカニズムを一つ、また一つと攻撃するものであり、手始めに標的とされるのは、裁判所とメディアであることが多い」「典型的な独裁者は、裁判所の権限を奪ったり、忠実な支持者だらけにしたりするとともに、独立した報道機関を全て閉鎖しようとする一方で、自らのプロパガンダ機関を構築して至る所に浸透させる」「学術機関や地方自治体、NGO、民間企業は解体されるか、政権の統制下に置かれる」


 情報とは「まったく異なるものを結びつけて新しい現実を創り出す。情報の決定的な特徴は、物事を表示することではなく結びつけることであり、別個の点どうしをつないでネットワークにするものなら、何でも情報となる。」そして、その情報ネットワークが人類の歴史をどのように作ってきたかを多くの歴史的な出来事を例に明らかにしていきます。

 現在の民主主義も全体主義も、印刷技術やマスメディアの発見と進化の結果であり、それらが民主主義も全体主義も可能にしてきました。

 第5章「決定-民主主義と全体主義の概史」は恐怖です。「要するに、独裁社会は強力な自己修正メカニズムを欠いた中央集中型の情報ネットワークだ。それとは対照的に、民主社会は強力な自己修正メカニズムを持つ分散型の情報ネットワークだ」とします。ところが、公正な選挙で選ばれた政権が、民主社会を簡単に強権的な独裁制、全体主義に変えていく様が描かれます。これは今から起こることではなく、これまで起こったことです。そして、現在の情報ネットワークはそのことをますます容易にしていることが明らかにされます。

 「強権的な指導者が民主制を切り崩すのに使う最もありふれた方法は、自己修正メカニズムを一つ、また一つと攻撃するものであり、手始めに標的とされるのは、裁判所とメディアであることが多い」「典型的な独裁者は、裁判所の権限を奪ったり、忠実な支持者だらけにしたりするとともに、独立した報道機関を全て閉鎖しようとする一方で、自らのプロパガンダ機関を構築して至る所に浸透させる」「学術機関や地方自治体、NGO、民間企業は解体されるか、政権の統制下に置かれる」

 これは「歴史」ではなく、いま起こっていることでしょう。そして、独裁社会や全体主義社会が民主社会に移行する際には壊滅的な悲劇がそこにあったことを私たちは知っています。だから恐怖を感じるのです。(2025年5月記)

2025年8月1日金曜日

フェア「戦争の記録・記憶」を開始します 「日ソ戦争 帝国日本最後の戦い」

  暑い暑い7月が終わって、暑い暑い8月になりました。戦争が終わって80年です。今日から「戦争の記録・記憶」フェアを開始します。


 


 日本が沖縄を捨て石にし、本土決戦だ! などと無謀なことを計画しているなか、英米やソ連はすでに第2次世界大戦後の世界を見据えた戦略を進めていていた。
 米ソは共通の敵、日本を降伏させるために協力しながら、互いに信頼することなく、戦後の世界の支配者になるための策略をめぐらしていた結果が、玉音放送後も戦闘が続き、多くの非戦闘員が殺される事態を引き起こした。

 なぜ日ソ戦争が起こったのか、どんな戦いだったのか、日本はどう戦って、ソ連はどう戦ったのか。北方領土はなぜ占領されたのか。シベリア抑留はどうして始まったのか。アメリカはどう関わったのか? 
 北海道がソ連に分割占領されなかったのも、北方領土がソ連に占領されたのも、千島列島を全部占領したのも、ソ連がヨーロッパでとんでもなく大きな損害を被ったことと、アメリカ(連合国)の戦争の終わらせ方との関係性の中で説明される。

 ロシアが保有する関東軍の文書など、新資料を駆使し日ソ戦争の実態に迫っていく。(2024年12月記)